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尾崎浩 調律師のご紹介

(九州朝日放送 マイベストプロ福岡,佐賀のインタビューより)

 

ピアノは一生の宝、クリアな音質でピアノをもっと楽しみましょう

 

眠っていたピアノが美しい生きた音を奏でる

長年、部屋の片隅に置いたままのピアノがあるけど、
もう一度弾けるようになりますか?

「尾崎ピアノ調律所」の尾崎浩さんのもとに、最近こんな問い合わせがよくくるそうです。聞けば、子どものころ習っていたピアノをもう一度始めたい。孫が遊びに来たときに、弾けるようにしたいといったケースだとか。

「もうだめかなとあきらめている方も多いようですが、ピアノは、きちんと手入れすれば、親〜子〜孫の3代まで弾くことができるんです。長年放置していても、虫に食われた部分を修復したり、部品を交換したりすれば、美しい音をよみがえらせるのは可能。この前は、30年も未調律のピアノを預かってきました」と尾崎さん。北九州市を拠点に、福岡県とその近郊で、ピアノの調律や修理を行うベテラン調律師です。

「昔のピアノは、今と比べて樹脂の割合も少なく、良く乾燥した良質の木材が使われています。メーカーのこだわりもあり、本当に良いピアノが多いのです。だから、眠らせておくのはもったいない。しかも、そこにはいろいろな思い出が詰まっているでしょう。発表会での晴れ姿とか、おけいこに通った思い出とか…」

鍵盤に張られた昔なつかしいアニメのキャラクターシールも、本来ならばきれいにはがすところを、あえて残すなど、ピアノのキズや汚れにまで思いを至らせる尾崎さんの姿から、ピアノへの愛情と優しい人柄がうかがえます。


 

ピアノは生きている。だから調律が必要

ところで、ピアノはデリケートな生き物だということをどれぐらい知っていますか?

梅雨どきにあるコンサート会場で調律したときのこと。ピアノが舞台のそでに置きっぱなしになっていて、湿気で音が出ませんでした。調律を終えてリハーサルが始まると、今度は照明の熱で音がぶれ始め、気がつけばピアノから水蒸気が。

構造的に説明するとこうです。

ピアノの弦はおおよそ230本。1本の弦には70〜90sの張力がかかっているため、時間の経過と共に弦に緩みが生じてきます。その上、温度や湿度に敏感に反応し、これがタッチや音程を狂わせる原因に。

「ピアノは調律しないでいると、変なクセがついた状態で落ち着いてしまいます。特に新品のように新しい弦は、柔らかく伸びやすいために、最初の3〜4年は半年に1度こまめに調律してあげなければなりません。その時点で音が安定していれば、後は1年に1度の調律で大丈夫。私たちが新車を買ったときに、ならし運転をするのと同じ感覚です」と尾崎さん。

「でもね、調律でお宅を回るでしょ。すると、お客様に調律の必要性がきちんと伝わっていないなあと思うことがあるんです。だから、初めてのお客様にはピアノのしくみからきちんと話します。そして、今のピアノの状態を説明して、調律が終わったら、お客様に一曲披露してもらい、クリアになった音を実感してもらうんです。ピアノという大切な宝物と一生付き合ってほしいから」


 

目指すのは、心地よい響きや繊細な表現を生みだす音づくり

尾崎さんは、コンサートやライブのステージマネージメントも行っています。ホールの残響音や演奏形態、トータルバランスなどを考慮し、客席に心地よく聞こえるよう、アーティストたちの演奏位置や音の飛ばせ方をアドバイスするのですが、ここでは国立音楽大学で幅広く音楽知識を学んだ経験が生かされています。

「声楽、ピアノ、管楽器、弦楽器…いろいろなジャンルの音楽人と出会えたことが大きかったですね。演奏会というのは、演奏家たちの協同作業です。そこには主役もいれば、脇役もいる。その中でのピアノの存在を考え、それに見合った音を導き出していく。音楽という大きなくくりの中で調律を経験できたことは、私の強みだと思っています」

話はずいぶんさかのぼりますが、少年時代の尾崎さんは、楽器の音や構造に興味を持ち、いろいろな楽器の音を録音しては聴き比べていたほどの音楽少年ならぬ音少年でした。その始まりは、中学時代に聴いたサンソン・フランソワの奏でるショパンの曲。音への並々ならぬこだわりは、このときから培われていたのかもしれません。そして、今もiPodの中に、たくさんの演奏家の楽曲を入れて聴くなど、とても勉強熱心。

「ピアノには、それぞれ個性があります。音量や音質、バランスなどを見極めて、音の水準を高めていくのが私の仕事。調律は一年に一度でも、去年よりは今年、今年よりは来年というように、より質の高い音をつくり出していけるよう常に意識しています。みなさんにピアノを弾くのが楽しい、心地よいと思ってもらえるよう、日々音に対する集中力と感性を磨かねばと自分を戒めています」


 

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