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コラム

ピアノの ダンパーフェルトについて!

ピアノのブレーキはどれ?


車社会において
自動車をいかに安全に運転出来るか!
この課題はブレーキの改良にありました。
少しでも早く止まれるか、という事でしょう。

ピアノもいかに心地よい止音が出来るか!
ピアノ開発者はこの問題に取り組んできました。
結果、それはダンパーの形に現れています。


この写真は上半分がグランド、下半分がアップライトピアノの
中音域から中高音・高音にかけてのダンパーです。

グランドピアノは水平面に張られている弦をダンパーの(重さ+下部の鉛)で止音する。
アップライトピアノは垂直面に張られている弦をスプリングの力を借りて
止音するようになっています。


グランドピアノの中音域とアップライトピアノの中音域低音側に
あたる部分です。
このポジションは高音部に比べ弦長も長くなり、打弦時の振幅も大きい為
ふた山で振動をキャッチする形になっています。


ここは低音部巻線〔ピアノ線に銅線を巻く〕(2本打ち)になる部分です。
ダンパーフェルトの形がひと山でクサビのような感じで止音します。
このポジションは弦も太く振幅も中音域より増すため
グランドの鉛の重量やアップライトのレバースプリングの圧も
高くなってきます。


ここは低音部巻線(1本打ち)になる部分です。
最低音から約1オクターヴくらいのポジションで
弦に接する谷形フェルトの長さもひと山ダンパーよりもっと長くなります。
当然、弦に対する圧も最高になります。

色々な形のダンパーを見て頂きましたが
88個ダンパーが付いている訳ではありません。
機種によって違いますが
鍵盤67Dis(レ♯)〜70Fis(ファ♯)から上はダンパーが無く
開放弦になっています。
この件でお客様より 内部構造を知らずに
(途中から音が伸びるのでおかしい)などの
問い合わせが入る事もあります。
打弦後の音の減衰の早さの関係やアップライトピアノなどは
ダンパー取り付けスペースの問題で
高音部装着は困難になってしまいます。
ただ 開放弦が共鳴弦にもなり
ピアノ本体の残響の助けにもなっています。


上の写真は低音域の巻線が中音域の弦の上を通るため
中音最初のダンパースペースが狭くなってしまい
補助ダンパーという物を取り付けてあるピアノがあり、止音を助けています。
これはアップライトだけにありグランドには無い物です。

ピッチの上昇によりピアノ線に対して求める止音技術も
改良されてきました。
スタッカートのはえるピアノほど
音楽表現を高められる楽器だと私は思います。


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