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コラム

アップライトピアノのバットスプリングコードの張替え修理

ご自宅のピアノ、大丈夫ですか?


今日はアップライトピアノのバットスプリングコードの張替え修理をしました。

グランドピアノはピアノ線が水平面に張られていて打弦後
ハンマーの重さのみで初動位置に戻ります。
一方、アップライトピアノはピアノ線が垂直面に張られている為、打弦後
ブライドルテープやバットスプリングの力を借りて
強制的にハンマーを初動位置に戻します。


(バットスプリング→黄色 バットスプリングコード→緑 ブライドルテープ→白)

構造的にはグランドピアノのモーションの方が効率が良い為
より多く〔早く〕叩く事が出来ます。

某社のある期間に製造されたアップライトピアノに限りますが
20〜40年程使用している物で バットスプリングコードが茶色く変色し
もろくなり切れだしてきます。その原因はコードの材質です。
当時はピアノブームでもあり沢山のピアノが製造されました。
外見からは分りませんが、今回のような修理が必要なピアノも沢山あるという事です。
しかし、最近のバットスプリングコードは切れにくい材質の物に変更されているようです。


切れた状態で弾き続けると ハンマーモーションは遅くなり
スプリングが跳ね上がっている事で 打弦時にダンパーレバーに当たってしまい
〔右奥に縦に見えているのがダンパーレバーです〕スプリングの破損にも繋がります。
こんな状況に調律師が遭遇した時は バットスプリングを生かすため
早期のバットスプリングコードの張替え修理をしなければいけません。


これは破損した1つを横から見た状態です。
バットスプリングコードの根元が切れてスプリングが跳ね上がっています。
これでは早いモーションは出来ません。


これはフレンジ部だけを取って新しいコードを取り付けた所です。
コードはこのように溝に埋まって接着されているので
切れたコードを溝から取り除いてから取り付けていきます。
88個あるので根気のいる作業ですよ!


これは張り替え後のフレンジをメインレールに付けていってる所です。
緑のV字のコードにバットスプリングがフックされていますね!
このような小さなパーツがピアノの打弦を助けているのです。
こんな仕組みもご理解してピアノを弾いていただけたら
私は嬉しいです。


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