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コラム

ピアノのテクニックだけでは限界が!

ピアノで美しい音色を奏でるために



これは良くレッスンしているグランドピアノのハンマーです。
のこぎりの刃のようですね。
日々ピアノ線を打ち続けると、打弦点がこのように削れてしまいます。
ここまで来ると シフトペダルもお手上げですね。
溝が深すぎて音色を変える事も出来ません。

(シフトペダルは、いちばん左の弱音ペダルでソフトペダルとも呼ばれます。
グランドピアノでは、このペダルを踏むと
鍵盤全体がフレームに対して少し右にスライドし、
中高音域ではハンマーが叩く弦の本数、
低音域では弦に当たるハンマーの部位が中央から端に変わり、
音量や音色を変える事が出来ます。)

マリンバやヴィブラフォン奏者が音色の変化を表現する為に
意識的にバチの硬さを変えて演奏しています。
ピアノもピアノ線を叩くという事で
打弦楽器と呼ばれていますが、
ただ このような状態では
88個 異なるバチで叩いている様なもので
音色もバラバラです。
溝が深い為 音の立ち上がりも悪くなります。

これでは 名ピアニストといえども
美しい音色で演奏するのは不可能です。


ハンマーは 芯になる板状のハンマーウッドに 
1台分の横長のハンマーフェルトを巻き接着し、
ビョウで止め 一音づつカットした物が
シャンク(柄)に取り付けられてます。
ハンマーヘッドの重さや硬さを整えるためです。

その断面をみるとハンマーウッドの外に
黄色いアンダーフェルト、その上に
ハンマーフェルトが巻いてあります。
ハンマーフェルトは切り株の年輪ように
層になるような構造です。

写真のような場合は ファイラー(薄い板に紙やすりを張っている工具)で
ファイリング(ハンマーの層の目を見ながら表面を削る作業)をします。
この仕事は技術と経験を必要とします。
断面から見た卵型が、いびつにならない様に
少し小ぶりになるのが 理想ですね!
溝が無くなり 打弦点が平になればOKです。


ピアノは打弦した時に音は決まっています。
いくら調律が上手くても、弾き手が上手くても
打弦時の条件が悪いと 良い演奏はできないのです。
F1もマシンが良くても タイヤで勝敗が
決まるとも言われます。
ピアノではハンマーでしょ!!

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