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コラム

ピアノの調律で狂いが大きい時

調律を長年していないピアノ

今日30年調律をしていないグランドの調律を行いました。
これだけブランクがあると調律に取り掛かり1〜2時間程度で
終わるという訳にはいきません。

中音域で10Hz以上下がっている場合
考えもなしに無理やり 一気に巻き上げたりすると
断線したり、今切れなくても後から断線したり
音律に変なよじれ癖がついてしまったり、
最悪の場合、フレームが割れてしまう事もあります。

調律師の経験から、ピアノの狂い幅(下がり状態)を確認して
ピッチ上げ作業を数度繰りかえさなくてはいけません。
(ピッチ上げとはピアノ全体の音律を2〜3回に分けて引き上げる事)
ケースによっては1〜2年をかけて 数度繰り返し
ピアノに掛かる負担を見ながら、徐々に上げていく
リハビリのような方法をとる事もあります。

30年調律をしていない訳ですから
チューニングピン(音を調整するネジ)を回した瞬間
切れる事もあり、大変慎重な巻上げが必要になります。

※それから調律作業以前の問題も発生します。
http://ozakipiano.com/contents01.html
ここに アップライトピアノ修理のほんの一例を表しています。
もちろんピアノ本体やアクションが
修理・整調などを経て やっと
調律に作業に移れる様になれるのです。

これからは※が終了して 残すは調律だけ
という段階から お話しましょう。

ピアノ全体には約20トンの張力が常にかかっています。
なので 弦が伸びるという運動は当たり前です。
その狂いは 湿度や温度変化などピアノをとり巻く環境や
調律のブランク年数に関係してきます。
特にピアノ線が柔らかい時から 調律を怠ると
変なクセが付いてしまい、なかなか取れない場合もありますね。

〔新品を購入してから5〜6年間、この時期はよく狂うので
1回目〜5回目までは 半年づつの調律を勧めております。〕

◎うちはあまりピアノを弾かないので狂ってないのでは
◎置いている場所が乾燥しているので狂ってないのでは
◎専門的に弾いている訳でないので狂ってないのでは

お客様より色々なご意見を聞きますが
音の狂いは、ピアノが生きている以上 必ず付いて来ます。
今回のような 長年の調律ブランクのケースになると
膨大な狂いとなり、ピアノには
調律する事で 大きな負担を強いる形になるのです。

こんな時私は、ピアノ調律師ではなく
野生馬を訓練する 調教師になっている気分です!

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