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コラム

声楽コンサートと調律師の反省

タバコ・思い出す

私も7年前まで けむりが生活の一部で、
タバコとなかなか 縁が切れない人間でした。
二十歳から興味本位で 吸い始めたのが止められず、
調律の合間にいっぷく!
変な習慣を付けてしまいました。

でも、今は禁煙に成功し、完全に止めました。
その当時、周囲の方々にご迷惑をかけた事を
反省しております。

15年以上か もう少し前になるかと思います。
北九州の八幡市民会館で小宮直子先生と山崎晶子先生、
お二人の声楽コンサートが行なわれた事がありました。
ムジカウォーリア女声合唱団(小宮・山崎先生指導)も賛助出演しました。

午前中 私はまだ誰も到着していないステージ上で調律を始めており、
休憩の時ロビーのベンチで喫煙(今はほとんどのコンサート会場は館内禁煙です)
するのを楽しみに チューニングしていました。
やがて時が来て、ベンチにもたれ至福のいっぷくをしていた時です。

急に外から見知らぬ老紳士が会館に入ってきて、私の前に立ち尽くしました。
「タバコは身体に悪いから、絶対止めなさい。本当に良くないので止めなさい。」
と突然注意されました。
自分も知らぬ人から急に注意されて、
戸惑いながら この老紳士に不愉快な顔をした様に思います。

やがて調律も終わり二人の先生も到着し、リハーサルが始まりました。
いつもの様に ステージマネージメントをしようと客席に降りていた所
「尾崎さん、ちょっとステージに上がって来て下さい。」と言われ
行ってみると 先ほど会った老紳士が立っておりました。
「今日の特別ゲストの作曲家の 中田喜直先生です。」と照会されました。
私も「宜しくお願いします。」と 言ったものの
まあ その時の ばつの悪さはなかったです。

リハーサルも終わり本番!!
両先生の歌も順調に進み、二部の中田喜直先生のステージになりました。
雪の降る町を・めだかの学校・ちいさい秋みつけた など
素晴らしい演奏が続きました。
私もタバコを注意された事を忘れたかの様に ふるまっておりました。

その後中田先生のトークになり、マイクを持たれたのです。
突然。
「皆さん、タバコをどう思われますか?私は嫌煙運動に心がけております。
父が晩年に結核に倒れてもなおタバコを吸い続けるほどの愛煙家であり、
その彼を見ていた母からタバコの害を聞かされておりました。
團 伊玖磨さん、黛 敏郎さんなど
他の作曲家にも訴えて、嫌煙同好会を作っています。
本当に タバコは身体に良くないです。」
私も他人事のような顔をして 聞いておりました。
ところがです。
「実は今日この会場に来る時に、若者が喫煙している所に出くわし
勇気を出して 注意を促してきました。
タバコは百害あって一利なし、皆さんも嫌煙運動に参加しませんか?」
・・・・・・・そそその若者は 私です!!!
お客様からの沢山の拍手がおこりました。

その後、夏の思い出を演奏されました。
スタインウェイの具合も問題なく、
コンサートは大成功に終わりました。

私は 〔夏の思い出〕が流れると
あの出来事を思い出し、ザンゲしています。



夏の思い出(尾瀬)

※このコラムは以前一週間ほど掲載したものです。
実名を出し、方々にご迷惑をお掛けしても
と思い、削除しました。
しかし、記事は 間違いの無い事実であり 
過去の自分を戒める上で、許可を得て再度掲載致しました。

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