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コラム

ピアノ調律で音を合わせる時は・・・ああ、勘違い!

毎年 定期的に行っているお宅です。
その日は午前10時から調律に伺いました。
奥さんが玄関で出迎えてくれて一階のピアノの部屋に通されました。
「じゃあ 宜しくお願いします。」とおっしゃって二階に上がっていかれました。
自分はいつもの様にパネルをはずし、準備を済ませ調律に取り掛かりますと
なにやらふすまの向こうの和室から ゴーゴーと大きなイビキが聞こえてきます。
もしかして どなたかが深夜勤務から帰って休んでいるのでは?と そう思いました。
調律で音を合わせる時は 鍵盤を一定の間隔で強く叩きます。
簡単にいうと二つの音を同時に鳴らし、振動数の差から発するうなりや倍音を聞き、
音程を整えていく作業です。
一定のリズムで鳴らすため、叩き方によっては眠気を誘う事もありますが、
音を出さずに調律するのは不可能です。
起こさないように叩き方に気遣いながら調律し、結局イビキが途切れる事はありませんでした。
作業を終え、奥さんにピアノの状態など説明しましたが
どうしても和室が気になり、となりの部屋の事を聞いたところ・・・
「無駄なお気遣いをさせてしまいましたね!イビキの正体はこの子です。」
そう言ってふすまを開けたら、ひょこひょこと黒いパグ犬が現れて私の前に座りました。
何かあったの?という顔でこちらを見上げ、わたしの手を舐めてくれました。

       調律日記より

 

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